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マンションのベランダやバルコニーにおしゃれな物置が置けたら便利です。でも、ベランダでは、物置だけでなくさまざまな物の設置が禁止されているとか。ベランダに物置などを設置することは、法律やルールとどう関わってくるのでしょうか? おすすめできないとすればその理由は?マンションを買うとき、借りるときに知っておきたいポイントを解説。一級建築士でマンション管理にも詳しい鈴木哲夫さんに話を聞きました。
ベランダに物置を置けたら、住まいの収納量を増やすことができます。また、クローゼットで洋服と一緒に収納するのは抵抗を感じる砂や土がつきがちなアウトドア用品やスポーツ用具、掃除道具などがしまえれば便利です。でも、ベランダに物置を置くのはダメ、と聞いたことはありませんか? 本当にダメなのでしょうか? 物置を置くのが禁止だとするとそれはなぜなのでしょうか?
ベランダに物置を置くことがダメだといわれる理由の一つに、マンションのベランダは避難経路として使われる、という点があります。火災が発生したとき、玄関から共用廊下に出て避難階段を使って避難しますが、避難階段までのルートが煙や炎でふさがってしまうことがあります。その場合はベランダが避難経路になります。隣の住戸のベランダとの間に設けられている蹴破り戸(隔て板)を壊して隣へ移動したり、ベランダの床に設置されている避難ハッチからハシゴを使って下へ移動したりが避難経路です。
消防法に基づく省令※でも、マンションでは万が一に備えて避難経路を二方向確保することが必要と定められています。つまり、避難階段が1カ所なら、もう一つの避難経路としてベランダなどから避難階や地上に出られることが必要です。ベランダに物を置くことを禁止すると消防法に盛り込まれているわけではありませんが、簡単には動かせない重量のある物置などが置かれていると避難のさまたげになるため、ベランダに物置を設置することは禁止、といわれるのです。
※「特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成十七年総務省令第四十号)」第二条八~十

分譲マンションのベランダは、接している住戸の人しか使えないつくりになっているため、その住戸の区分所有者のもののように見えますが、実はそうではありません。ベランダはマンションの区分所有者全員が共同で管理する共用部分で、接している住戸の人が独占的に使用することが認められている専用使用部分にあたります。つまり、「わが家のベランダ」として使用はできるけれど、みんなで所有している共用部分。利用する際には管理規約や使用細則で決められた使い方を守らなければなりません。
複数の住戸が一つ屋根の下で暮らす分譲マンションでは、マンションの管理や使用についての基本的なルールを定めた管理規約と、管理規約に基づいて具体的なルールを明記した使用細則が定められているのが一般的です。
「ベランダに物置を設置してはいけないこと、ベランダの使用範囲などについては使用細則などで規制や禁止および順守事項について定めていることが多いのです。ベランダは、避難経路であり、専用使用部分ですが、共用部分であることから、勝手な使用はできず、ルールに従う必要があります。物が置いてあったことで隣接住戸から避難ができず、人身災害が発生した場合は、規約に定めなかった場合の管理組合の責任や、ベランダの占有者への指導責任も問われることになります」(鈴木さん、以下同)
下は、使用細則等で禁止されている専有部分や共用部分、ベランダ(バルコニー)などの専用使用部分の使い方です。ベランダでの物置の設置は、「重量物の設置」や「物置またはこれに類する工作物の構築(設置)」によって規制されています。
□騒音悪臭を伴う行為、風俗、不潔、嫌悪を感じる用途等の使用
□建物の構造に影響を与える行為、変更、重量物の設置
□指定場所以外の看板の設置
□共用部分での不法占拠、私物の放置
□共用部分でのごみ集積放置、雑誌新聞の集積放置、使用していない物品の放置
□発火、爆発のおそれがある危険物の持ち込み保管
□悪臭のある物品、持ち込み保管
□指定された場所以外の自転車の保管、持ち込み、一時駐輪
□バルコニーなどの専用使用部分にサンルーム、物置またはこれに類する工作物の構築(設置)
□共用部分や専用使用部分での喫煙、調理等で火気を使用
□大規模な水槽設置、生物の飼育、ペットケージ、繁殖目的使用制限
□共用部分や専用使用部分でのペットの給餌、ブラッシング、ペット用トイレの設置、排せつ物清掃
※マンションの使用細則は管理規約に基づいてマンションごとに作成される。その際の指針として活用されているのが公益財団法人マンション管理センターが作成した「中高層共同住宅使用細則モデル」。上記の「使用細則等に規定される禁止事項」は、中高層共同住宅使用細則モデルを基に鈴木氏が作成。
前述のとおり、ベランダは避難経路となることは消防法で定められています。また、マンションの管理規約や使用細則などではベランダの使い方や置いてはいけないものなどが明記されているのが一般的です。しかし、このような法律やルールで規制や禁止がされていなかったとしても、ベランダに物置のように簡単に移動できない物、大きな物を置くことはおすすめできません。
バルコニーの隣の住戸との境目の蹴破り戸の前に物置を置くと、避難の際に蹴破り板を破れなくなります。また、蹴破り戸を覆うようにトレリス(ラティス。植物をからませたり、鉢を吊るしたりしてガーデニングを楽しむためのフェンス)を立てるのも避難のさまたげになります。

「物置やテーブルなどベランダの設置物を踏み台にした子どもの墜落事故があります。フェンスに手が届かない体格の子どもでも、知恵を働かせて踏み台になる椅子などを持ってきて登ってしまうので危険です」
踏み台になりそうな高さの小型物置やテーブル、椅子、ゴミ箱などを放置しないこと、エアコンの室外機も設置場所に注意が必要。家族の安全のため、ベランダには物置などは置かないほうが安心です。

ベランダには何も置いてはいけない、というわけではありません。でも、置いていいものと、置いてはいけないものは、どう判断すればいいのでしょうか?鈴木さんに伺いました。
集合住宅でのルールを定めた管理規約や使用細則の内容は、マンションによって異なります。そのため、ここで挙げるベランダに置いてはいけないものが、禁止事項として盛り込まれていないマンションもあります。しかし、安全で快適なマンションでの暮らしのために、ベランダに置くことは避けたいものばかりです。
灰皿自体に問題はありませんが、共用部分であるベランダでの喫煙は火気使用にあたり、ニオイや副流煙に対するクレームの問題もあります。また、タバコの吸い殻をそのまま放置するのは絶対にNG。
「放置した吸い殻が多くたまり、火種がくすぶって発火に至った例があります」
冬タイヤと夏タイヤで使い分ける地域の人や、予備のタイヤを所有している人がタイヤをベランダに保管するケースが見られます。
「タイヤは激しく燃焼するため、規約で禁止しているマンションが多いです。タイヤが燃えた場合、火が消えにくいうえ、飛び火しますし煙も多いです」
タイヤはトランクルームに収納するか、保管サービスのあるカー用品ショップを利用するようにしましょう。
規制はありませんが、避難経路を確保するためには置かないほうがいいといえます。整備や掃除をするための仮置き程度にし、その際に使った油差しなどは放置しないように気をつけましょう。
共用部分であるベランダやルーフバルコニーは、物置場所や備蓄場所としての使用を前提としていません。まとめ買いした水の目的が備蓄であるなら、ベランダは備蓄場所ではないので置くのはNGです。水は重たくてかさばるため、ベランダが避難経路として使えなくなる可能性があり危険です。
備蓄用の水と同様、アウトドア用品を置く物置場所としてベランダを利用するのはNG。トランクルームや玄関のクローゼットなどを利用するようにしましょう。
ペットケージをベランダに設置して、その中で犬や猫などを飼うのはNG。ニオイや鳴き声、抜け毛などがクレームの原因になります。

マンションのベランダに置いても問題ないものもいろいろ。ただし、設置場所の制限など知っておきたい注意点もあります。
日常生活で必要なもののため設置はOK。ただし、上階からの避難ハッチの直下に設置すると、上階からの避難ができなくなります。避難経路が確保できる場所に設置する必要があります。
設置についての制限はありませんが、マンションによっては設置場所に制限があるケースがあります。
所定の制限位置および容量であれば制限はありません。ただし容量が大きく重量制限を超える場合、避難経路の確保できない場合は不可となります。
花や野菜を育てるプランターを置くことに規制はありません。しかし、ベランダに土を入れて造園を行う行為は、管理規約や使用細則で規制されているのが一般的です。
固定されていればウッドデッキの設置に問題はありません。
子ども用のビニルプールを使用時のみ設置するのは規制がありません。ただし、放置すると藻が生えたり、ボウフラが発生して蚊が増えたりします。置きっぱなしはしないこと。
ベランダにプールを置く場合に知っておきたいことなど、もっと詳しく読む。
「マンションのベランダでプール遊びはOK?ルールや遊ぶ場合の注意点」
規制はありませんが、収納ケースを大量に置くのは避難のさまたげになるため不可です。
ベランダへの設置に規制はなくても、条件によってはNGな場合や十分な注意が必要なものがあります。
規制はありませんが、避難経路を確保した置き方が必須です。
「ただし、雨水の排水口に排水をしてはいけません。お風呂の残り湯を使っていると髪の毛などで排水管が詰まりますし、洗剤の泡が下の階のベランダにあふれたりします。そのため、洗濯機用の排水経路がない場合は使用はできません」
規制はありませんが、避難経路を確保した置き方が必要で、避難の障害物になってしまう場合は設置は不可。
特にルーフバルコニーの場合は、横風の影響でフェンスを越えて飛んでしまうことがあり危険なため、十分な注意が必要です。
そのほか、軽いものは案外危険。
「台風で飛ばされたものが下階のベランダに落ちて窓ガラスを割ることも。近隣の建物に被害を及ぼしたケース、屋根に落ちて穴を開けたケースがあります。重量が軽く、面積が大きいものは飛ばされる危険性が多いことを覚えておきましょう」
ベランダは共用部分のためマンションの大規模修繕工事の施工範囲に入ります。そのため、施工前にベランダに置いてある私物の撤去が必要になります。ちょっとした椅子やプランターが置いてある程度なら撤去も移動も簡単ですが、ベランダ全体に敷いたウッドデッキや大量のプランターなどがある場合、工事期間中の保管も大変です。なお、エアコンの室外機は取り外しや設置に費用がかかるため、配管が届く範囲で室外機を移動させながら床の防水工事を行うなどの対策が取られるケースが見られます。
いずれにしても、ベランダはルールやマナーに沿って上手に使用する場所。物を置く際には、事故やトラブルにならないか、大規模修繕の際に撤去できるかなどを考えるようにしましょう。
ベランダはマンションの共用部分。接している居住者の専用使用部分だが、ルールを守って使う必要がある
ベランダに物置を置くことは、マンションの管理規約・使用細則で禁止されているのが一般的
ベランダは避難経路、共用部分。安全に暮らすため物置以外にも設置が禁止、制限されている物は多い
大規模修繕工事の際、ベランダの私物は撤去・移動する必要がある