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築50年を超える分譲マンションには、価格が安い、立地の良い物件が多いなどさまざまなメリットがあります。でも、買っても大丈夫なのか、いつまで住めるのか、このまま住んでいて後悔しないのか、などさまざまな不安がつきまとうのも事実です。そこで、築50年以上のマンションの問題点や購入する場合の注意点、現在の住まいが築50年のマンションの場合に知っておきたいポイントなどを、不動産エージェントの山本直彌さん、プロホームインスペクターの田村啓さんに聞きました。
また、区分所有法やマンション建替え法(再生法)の改正で、建て替えなどがしやすくなるかについても解説します。
築年数の古いマンションでまず気になるのは、そのマンションが「新耐震」なのか「旧耐震」なのかということです。新耐震とは、1981年の建築基準法改正のときに定められた基準。震度5強程度の地震でもほとんど損傷がなく、震度6強~震度7程度でも家屋が倒壊・崩壊しない性能が目安になっています。建築確認日が1981年6月1日以降のマンションは、この新耐震基準で建てられていることになります。一方、旧耐震とは建築確認日が1981年6月1日よりも前の建物。震度5程度で倒壊・崩壊しない性能が目安です。
| 耐震区分 | 建築確認日 | 築年数 |
|---|---|---|
| 新耐震 | 1981年6月1日以降 | 築43年 |
| 旧耐震 | 1981年5月31日まで | 築42年より経過 |
では、築50年のマンションはどうなのでしょうか?
「50年前に建てられたマンションは、旧耐震基準に当てはまるため耐震性が最も気になる点となります。購入を考えている場合は、そのマンションが耐震診断を受けて、その結果、補強が必要な場合に耐震補強工事を行なわれているかを確認することが重要です。
資産性に影響するほか、建物が新耐震基準を満たしていることを証明する『耐震基準適合証明書』があることで住宅ローンが借りやすくなったり、住宅ローン控除の対象になったりします。また、地震保険の割引制度が適用されることもあります」(山本さん)
ただし、旧耐震のマンションで耐震診断を受けているもの、耐震補強を行っているものは多くないのが現状だとか。
「壁式構造の5階建て程度の低層マンションでは、旧耐震の時代に建てられたものでも新耐震基準を満たしているケースが見られますが、それ以外のマンションの場合、耐震診断で耐震補強が不要と診断されるケースは非常に少ないというのが現実です」(田村さん)
「築年数の古いマンションは、共用部、専有部の給排水管の劣化による漏水の問題があります。マンション全体で、配管の交換やメンテナンスをどのような内容で行ってきたかが資産性にも関わってきます」(山本さん)
近年の給排水管は、半永久的に腐食が起こらないといわれる塩ビ管(VP管)が採用されているのが一般的。しかし、築50年のマンションの時代は、銅管や鉄管が採用されていました。
「銅管や鉄管の寿命は長くても30年程度で、劣化すると錆や水漏れなどが起きます。古いマンションの場合、配管の交換が共用部、専有部も含めて行われているのかが重要。交換ではなく、管の内側に特殊な被膜をするライニング工事が行われることがありますが、この場合、被膜の寿命はもって10~20年程度。築30年の時点でライニング工事を行っていても、20年後の築50年には配管の寿命がきている可能性があります。いつメンテナンスを行なったかだけでなく、配管の交換なのか、ライニング工事での延命なのか、どのような工事を行ったかを確認することが必要です」(田村さん)
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鉄筋コンクリート造のマンションは、築50年を超えるころからコンクリートの中性化、いわゆる劣化症状が起き始める場合があります(海に近い立地などでは、塩害によって築50年よりも早く劣化症状が見られる可能性がある)。中性化は、アルカリ性物質が多いコンクリートが、空気中の二酸化炭素などの影響によってアルカリ性を失うことで起こります。
「大規模修繕工事を適切に行い、外壁仕上げ部分の修繕などでコンクリートをガードできていればいいのですが、適切なメンテナンスを行なっていないマンションの場合は、雨や二酸化炭素などの影響で表面から内部に中性化が進むと鉄筋が錆びやすくなり、建物全体の劣化につながります」(山本さん)
同じ築50年以上のマンションでも、状態の良いマンションもあれば、ひと目で劣化がわかるマンションもあります。耐震性能、配管の状態、コンクリートの劣化状態などは、適切なメンテナンスが適切な時期に行われてきたかどうかで状態の良し悪しに差が出ます。築50年のマンションの購入を検討する場合は、これまでのメンテナンス歴、大規模修繕歴を確認することが大切です。
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きちんとメンテナンスを行なってきたマンションなら、「築50年を超えているから」と購入を避けるのではなく、古いマンションだからこそのメリットにも目を向けたいもの。買っても大丈夫なのか、買って後悔しないのかは、物件次第。購入する人が購入の条件に何を優先するかにもよります。
「都心部で人気があるヴィンテージマンションと呼ばれる古い物件は、築50年を超えても管理状態が比較的良好なものがあります。また、築年数が古いマンションは、立地の良いものが多くあります」(山本さん)
耐震性や配管の状態、管理状態などをクリアしていても、今の自分たちに合う暮らしができるかどうかも確認しておきたいポイント。
「築50年を超えるマンションは、今のマンションに比べると断熱性能が低いのが一般的。そもそも断熱材が入っていないことも多くあり、夏は暑くて冬は寒い、北側の部屋では結露が発生するということも。快適な暮らしにするため、リノベーションをしようという方も多いと思いますが、築50年くらいのマンションになると水回りの位置を自由に動かせない、エアコンがつけられない部屋がある、といったケースもあります」(田村さん)
中古マンションの今後の長期修繕計画や、修繕積立金の状況などは物件によって異なります。購入を検討しているマンションの管理組合の活動状況をチェックすることも大切です。
「不動産仲介会社に依頼して、重要事項調査報告書、直近3年間の管理組合総会の議案書、議事録、長期修繕計画書などを取り寄せると、管理組合の活動の一定の様子がわかります。ご自身で、長期修繕計画の内容や修繕積立金の滞納の有無、残高などを確認するか、一定以上の知見をもつマンション管理のコンサルタントにチェックしてもらうといいでしょう。当社でもマンションの管理状況を専門家が確認する『マンション管理インスペクション』というサービスを行っています」(山本さん)
築50年を超えるマンションを住宅ローンで購入する場合、マンションの担保価値が審査のハードルになる傾向があります。
「ローンを借りられたとしても、フルローンを組めない場合や、返済期間が短く設定される場合があります。また、大手金融機関の場合、比較的審査は厳しいといえます。フラット35は、耐震基準適合証明書が取れていると審査を通る可能性があります。金融機関や住宅ローン商品によって対応が異なりますから、早めに複数の金融機関に相談することが大切です」(山本さん)
マンションなどの不動産を所有していると毎年かかるのが固定資産税で、1月1日時点での所有者に課税されます。そのため、年の途中で中古マンションを購入した新しい所有者には、その年の納税義務はありません。しかし、その年の所有期間に応じた相当額を、決済時に売主へ支払うのが一般的です。
中古マンションの固定資産税について詳しく読む。
「中古マンションの固定資産税はいくら? 計算方法と築年数別シミュレーション」

コンクリートでできたマンションは「100年もつ」といわれています。でも、現時点で築50年のマンションはどうなのでしょうか?50年も前に建てられた建物が、この先さらに50年ももつのでしょうか。
「最近のコンクリートは高強度コンクリートといって、耐久性がより高くなっています。では、50年前に建てられたマンションのコンクリートの耐久性が低いかというとそうではありません。私の見解では、大規模修繕工事で適切に維持管理がされていれば、50年前のマンションもトータルで100年以上もたせることができると考えています」(山本さん)
ただし、築古のマンションならではの注意点もあります。
「築50年くらいのマンションが建てられた時代は、今ほど施工監理が厳しくありませんでした。そのため、後年、初期の施工不良が見つかることがあります。施工不良があっても、それを修繕していればいいのですが、定期点検をきちんと行われていないマンションの場合、施工不良が見逃されて建物の劣化につながっていることがあります。定期点検の履歴があるか、施工不良がそのままになっていないか、専門家の目で確認してもらうことが大切です」(田村さん)
鉄筋コンクリート造のマンションは、物理的には100年大丈夫といわれますが、実際に建て替えたマンションは、築何年くらいなのでしょうか。
下の表は、「マンション建替え円滑化法」の制度を利用して建替えを行ったマンション事例(154件)の建替組合認可時点の築年数を割合で示したものです。建て替えが決まった築年台ごとの割合を見ると、築40・50年台が合わせて約70%を占めています。築50年や築100年を待たずに建て替えという選択をした管理組合もあるということです。
| 築年数 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 築30年未満 | 7 | 4.5% |
| 築30年台(30~39年) | 33 | 21.4% |
| 築40年台(40~49年) | 57 | 37.0% |
| 築50年台(50~59年) | 51 | 33.1% |
| 築60年以上 | 6 | 3.9% |
しかし、実際に建て替えとなると高いハードルがあり、建て替え戸数は多くはありません。国土交通省の資料で全国のマンションのデータを見ると、2025年3月時点でマンションの建て替えが完了したマンションは累計323件、約2万6000戸。2024年末の分譲マンションストック数は約713万1000戸ですから、建て替えを行なった中古マンションは全体の約0.4%程度です。
「現在の区分所有法では、建て替えには所有者の5分の4以上の賛成決議が必要なこと。そして、建ぺい率・容積率の余裕がないケースが多いことがハードルになっています」(山本さん)
マンションの建て替えにかかる費用は区分所有者が負担するのが原則です。築年数の古いマンションは高齢の方も多いため、建て替えの費用や建て替え中の仮住まい費用を負担する経済的なゆとりがなかったり、仮住まいや引越しそのものを負担に感じたりします。さまざまな年代や事情を持つ人が暮らすマンションは、建て替への合意形成が難しいのです。
また、容積率や建ぺい率に余裕があり、現在よりも大規模なマンションへの建て替えが可能な場合は、区分所有者とデベロッパーの共同事業として建て替え、区分所有は等価交換でマンションを再取得する方法があります。しかし、新築マンションとの等価交換となれば、これまでよりも狭い住戸が割り当てられるのが一般的。また、既存のマンションが容積率、建ぺい率に余裕がない場合はデベロッパーの利益になる販売できる住戸が作れないため、共同での建て替え事業自体が成り立ちません。
「建て替えが成功する要件に該当するマンションは、郊外の敷地が広い団地タイプのマンションが多く、都市部では難しいケースが多いといえます」(山本さん)
2025年5月、老朽化マンション等の管理や再生をスムーズに進めることを目的に、区分所有法やマンションの管理・建替えに関する法律が改正されました。改正法は2026年4月から施行されます。
区分所有法改正による大きな変化の一つが、建替えなどが可能になる区分所有者等の賛成数です。原則的にはこれまでと同じ5分の4以上の賛成が必要ですが、建物が以下のいずれかに該当すると客観的に判断された場合は、4分の3以上の賛成で建て替えできることになりました。
■3/4以上の賛成で建て替え可能なケース
(1)耐震性が法定基準等に適合しない
(2)防火性能や火災時の避難に関する基準等に適合しない
(3)外壁材などの剥落(はくらく)の危険性がある
(4)給排水管の腐食等があり衛生面で有害となるおそれがある
(5)バリアフリー基準(建築物移動等円滑化基準)への不適合がある
改正区分所有法では、老朽化マンションの新たな再生方法も明記されました。建て替えと同等の多数決によって、下記の4つの方法も選択できるようになったのです。
■建て替え以外の4つの再生方法
(1)建物の更新(一棟リノベーション)
建物の構造躯体は補修、給排水管の全更新など専有部分を含む居住・共用部分を全更新する方法。建て替えに比べて低費用で実現が可能です。
(2)建物・敷地の一括売却
マンションとその敷地を一括売却する方法。建て替えのさまざまな手続きや工事中の仮住まいなどの手間を省くことができます。
(3)建物を取り壊して敷地を売却
建物を解体した上で敷地を売却する方法。古い建物付きの土地売却では、購入の条件として建物の取り壊しを求められることがあり、こういった場合の選択肢の一つになります。
(4)建物の取り壊し
建物の老朽化や危険性が著しい場合などに建物を解体し更地にする方法。敷地を共有のまま維持することで将来の活用や売却に備えられます。
いずれの方法も、建物の更新や解体に「修繕積立金」や「区分所有者から徴収する一時金」が充てられます。しかし、(1)は再居住、(2)(3)は売却で利益が出た場合、区分所有者に配分されるメリットがあります。(4)についても、当初は、解体費用や引越し費用が持ち出しになりますが、敷地の持ち分という資産が手元に残ります。
区分所有法の改正により、管理組合は建物の状況や資金計画に応じて、マンションの再生方法を柔軟に選択できるようになりました。これに合わせて、マンション建て替え時の手続きやルールについて定めた「マンション建替え円滑化法」も「マンション再生法」と名称(※)が変わり、新たな再生方法の手続きの流れが盛り込まれました。
また、同法では従来、決議に反対した区分所有者の「区分所有権の買取請求」のみが定められていましたが、改正によって、賃借人に対する「賃貸借の終了請求と補償」も規定されました。
※本文中の法律名は略称。以下の→が正式名称です。
・(略称)区分所有法→建物の区分所有等に関する法律
・(略称/旧法)マンション建替え円滑化法→マンションの建替え等の円滑化に関する法律
・(略称/新法)マンション再生法→マンションの再生等の円滑化に関する法律
なお、同改正では、マンション管理について定めた「マンション管理法(マンションの管理の適正化の推進に関する法律)」も改正されました。
築50年を超えるマンションを購入して後悔しないため、今後も長く快適に暮らせるようにするため、区分所有者として何ができるのでしょうか。
マンションの寿命はメンテナンスによるところが大きく、そのメンテナンスを主導するのは区分所有者で結成される管理組合です。ポイントは、管理組合の理事になった時の姿勢。
「自分のマンションのことを常に考えることは大変だと思います。多くのマンションでは、何年かに一度、輪番制で理事の役割がまわってきます。その任期中だけでも、自分のマンションの建物とお金のことに集中して目を向けてみましょう。一度理事をやって管理組合の活動に積極的に関わると、自分のマンションのことがよくわかるようになります。輪番制で理事が交代していくと、マンション内で管理に詳しい人が増えていき管理組合の活動もスムーズになります」(田村さん)
今回の区分所有法の改正では、老朽化や不完全な管理のために外壁の剥落(はくらく)など危険が生じる恐れが高いマンションに対し、裁判所が専任した「管理人」を選任して共用部分の管理を行わせる「管理不全共用部分管理制度」が新設されました。管理人には、弁護士や司法書士、マンション管理士などの専門家が選任されることになります。
また、いわゆる「ゴミ住戸」のように、専有部分の放置が原因で他の住民の生活や権利に悪影響を及ぼす場合には、「管理不全専有部分管理制度」により対応が可能となります。今後は、管理がおろそかなマンションや住戸に対して、裁判所が強制的に対応をとる可能性もあるのです。
これから購入する場合でも、今住んでいるマンションの場合でも、快適に住み続けるためには、区分所有者一人ひとりが管理組合の活動に参加し、適切な維持管理を続けることが大切です。
築50年以上のマンションで問題になりがちなのは耐震性能、配管の劣化、コンクリートの劣化
築50年以上のマンションは駅近など立地がよい物件も多い
築50年以上のマンションは水回りの位置を変更できないなどリノベーションに制約がある場合がある
現在築50年以上のマンションでも、適切な維持管理を行うことで建物の寿命を伸ばすことができる