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コロナ禍を経て、完全在宅のリモートワークだけでなく、出社とリモートワークを組み合わせるハイブリッドワークが定着傾向にあり、依然自宅でのリモートスペースの需要は高いと言えます。この記事では、最新のリモートワーク事情を紹介するとともに、リモートスペースの実例やスペースを作る際のQ&Aなどを、住まいのリノベーションのほか、物件探しや資金計画の相談まで幅広く手掛けるリノべる。の本多史弥さんに解説してもらいました。
コロナ禍に在宅で仕事をすることが増え、自宅にリモートスペースを作る人が急増しました。その後、通勤の機会は増えたものの、依然「週の半分はリモートワーク」「出社が基本だが、週に数回在宅勤務を選択している」といった出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッドワークが定着しつつあります。また、「完全在宅勤務」や「夫、妻どちらも在宅勤務の日がある」という家庭も増えています。
このように働き方が多様化する中、リモートスペースに関するリノベーションの相談にも変化はあるのでしょうか。
「コロナ禍以前は在宅という働き方が一般的ではなかったので、リモートスペースに関するリノベーションのご相談に対して、お客さまと一緒に探り探り進んでいく感じでした。しかしコロナ禍を経て、お客さまの中でも自分に適したリモートスペースの形がより明確になってきた印象があります」(リノべる。・本多さん)

近年のリモートスペースのリノベーションに関する相談には「これが流行っている」というものはないそう。「最近は在宅を経験したお客さまが『リビングの一角に造作のカウンターを作りたい』『会議が多いため個室にしたい』など、明確な要望を持って相談にいらっしゃることが多くなりました」
それぞれの働き方や需要によってリモートスペースへの要望は異なるため、「特にこんな要望が多い」ということはなく、多種多様な相談が寄せられているそう。今回は、その中でも比較的依頼が多いという5つのパターンを教えてもらいました。
ほかにはリモートワークだけではない多目的スペースを希望する人も増えているそう。
「在宅がそれほど多くない方は子どものスタディコーナーや読書スペース、趣味の裁縫スペース、書類を書くなど、家族も使える多目的スペースを希望される方も多いです。読書や裁縫などはダイニングテーブルでもできますが、専用スペースを作り、共用することで家族の居場所が増やせるメリットがあります」
真似したい「リモートスペースのある暮らし」について、その実例をご紹介します。


【家族profile】
夫妻+子ども1人/30代/3LDK+S+WIC
こちらはリビングに隣接した個室タイプの実例です。
個室となっているのでプライベート感があり、オンライン会議などでも音漏れの心配は少ないです。室内窓を設置したことで、家族が集まるリビングとも繋がりを持つことができます。仕事の合間に室内窓からお子さんの成長も見守れる、家族の繋がりを大切にしたリモートスペースです。
【実例のpoint】
「室内窓を付けた個室タイプのリモートスペースは、『オンライン会議が多く、仕事の時は集中したいので個室は欲しい。しかし閉塞感のある個室は避けたい。仕事をしながらも家族の様子を見守りたい』という人におすすめです」


【家族profile】
夫妻2人+子ども1人/30代/2LDK
リビング奥の窓際にスペースを確保した半個室タイプの実例です。
妻は日中仕事に出てしまいますが、夫は完全在宅です。個室にこもるのではなく家族の声が届く空間で仕事をしたいという希望があり、個室は作らずリビングの一角を仕事部屋にしています。リビングの奥にゆるやかにゾーニングをすることで半個室のようなスペースですが、背後にある窓から光が入るので明るく、リビングにいる家族の気配を感じながら仕事をすることができます。将来子どもがパパと並んで宿題ができるよう、カウンターデスクは長めに造作しているそうです。
【実例のpoint】
「このタイプは在宅時間が長く一日の大半をワークスペースで過ごす方で、『個室でなくていいけれど、開放的で明るい場所で働きたい』といった、ワークスペース環境を重視する方におすすめです。目の前が壁なので集中できる上にリビングの空調を共有でき、快適な空間になっています。」


【家族profile】
夫妻2人/20~30代/1LDK+WIC
昼間は使うことがない寝室内のウォークインクローゼットの中にリモートスペースを作った実例です。
スペースはそれほど広くはありませんが、隠れ家のような一人空間を実現しています。ウォークインクローゼットの中に作ることで省スペース化できるので、他の間取りに影響することなくリモートスペースを確保できます。また、ウォークインクローゼット内にスペースがあることで着替えと同時に外出準備をしたり、女性であればメイクをするなど目的や用途によって使い分けができそうです。
【実例のpoint】
「生活音がない静かな空間のほうが集中できる方や、空間を有効活用したい方におすすめです。また、個室を作る間取りの余裕はないけれど、仕事に集中をするスペースはリビングなどとは別に作りたい方にも向いています」


【家族profile】
夫妻2人+子ども2人/40代/2LDK+ロフト
在宅で仕事をするとオンとオフの切り替えがうまくできないという声をよく聞きますが、この実例は玄関スペースを広くした土間にリモートスペースを作り、靴を履いて仕事をスタートすることで仕事とプライベートのメリハリを付けています。玄関からすぐなので、子どもたちが帰宅した際に声をかけることができ、家族の繋がりを感じることができます。夫も妻も完全在宅勤務ですが、リビングや子ども部屋から離れた場所にスペースを設置したことで、子どもたちが家にいてもお互いに気を遣うことなく仕事に集中できるそうです。
【実例のpoint】
「土間なので靴を履いて仕事をしますが、靴を履くという行為でプライベートから仕事モードに頭が切り替わるメリットがあります。土間に作るワークスペースは、オンオフを切り替えたい方におすすめです」


【家族profile】
夫妻2人/30~40代/1LDK+WIC
隅田川に面したリビングの中心に夫と妻二人のリモートスペースを設け、印象的なペンダント照明をレイアウトした実例です。
趣味であるフィギュアに囲まれ、川面が見える窓に向いたデスクはカフェカウンターのような印象で、高さのある天井を活かして明るく開放感があるリモートスペースとなっています。
横並びで仕事をするスタイルは一人で仕事をする際に感じがちな孤立感がなく、オフィスのように人の気配を感じながら仕事をすることが可能です。
【実例のpoint】
「個室ではなくリビングの一角で仕事をしたいけれど、ダイニングテーブルではなくワークスペース専用のカウンターは欲しいという人や、開放感のある空間で仕事をしたい人におすすめです」
自宅にリモートスペースを作る際に気を付けたいポイントは、空調、音、Wi-Fiと電源、配線(コードのごちゃつき)、照明です。
猛暑が続く近年、小さくても個室にする場合はエアコンがないと仕事になりません。リビングや寝室の一角にスペースを設ける場合には、リビングや寝室の空調を共有できるため節電にもなります。室内窓を付ける場合は、FIX(はめ殺し)タイプではなく開閉可能なタイプにすれば、窓を開ければリビングの空調を共有することができる上に換気もスムーズです。
音は子どもがいる家庭やオンライン会議の際に気になるポイント。「学校から帰宅した子どもに話しかけられて仕事に集中できない可能性があるならリモートスペースをリビングや子ども部屋から離れた場所にします。普段はリビングで仕事をしているがオンライン会議の際に生活音が気になる人は、音を拾わない居場所を他に作っておくといいでしょう」
「ネット環境と電源の位置も重要です。重要な会議が多い人は、無線だけでなく有線も考えておくと快適です」
「ここにリモートスペースを作りたい」となっても、コンセントがないとパソコンなどの電子機器を繋げません。タコ足配線は危険な上に見た目もごちゃごちゃするため、リモートスペースを作る際にはパソコンやスマホの充電、デスクライトなどリモートで使用する電子機器を考えてコンセントの数や設置場所を決めるようにしましょう。

リモートワークを経験した人の希望で多いのが、『配線をすっきりさせたい』というもの。「(配線が床でごちゃつかないよう)リモートスペース周りのコンセント位置を上げて欲しいなど、細かい要望をされる方も増えました」
コンセントの位置を通常より上げ、パソコンや電子機器とコンセントをつなぐ配線をデスク下に収納すると、床に配線が絡まりストレスが溜まるリモートスペースから卒業することができます。
「自宅ではリラックス効果のあるオレンジ系の電球色を使用することが多いですが、オフィスなどで使用している白色照明にするのもおすすめです。白色照明は集中力が高まり、長時間の作業や勉強などの効率を上げる効果があると言われています」
ほかにも依頼の際に多い相談内容を紹介します。
「リビングで仕事をしているが、家族がよく通るので集中できない」「ベッドルームで仕事をしているが、子どもの寝かしつけやシーツを替えたいときに部屋に入れない」などには、「個室を設けることで解決しますが、間取りに個室を設ける余裕がない場合には、リビング以外の土間やウォークインクローゼット内にスペースを設けたり、リビングであっても仕事に集中するため視界を遮れる場所にスペースを作る提案をしています」
「夫と妻が在宅勤務の場合に多いのは、一人は寝室、もう一人はリビングと場所を分けるケースです。この場合はどちらかがオンライン会議を行う場合も、場所を移動することなく仕事に集中できます。近年は長めのカウンターを造作し、二人が横並びで仕事をするリモートスペースの依頼も増えています」
在宅の頻度が低い場合は、仕事をしない時間は家族が読書や宿題をすることができる多目的スペースを作るのもおすすめです。
また、横並びのリモートスペースの場合、片方がオンライン会議の際、音が気になるという悩みも多いそうです。
「その場合は在宅やオンライン会議の頻度、集中できる広さや音のレベルのほか、どのように仕事をしたいか希望を伺い、優先順位に合わせてどこにリモートスペースを設けるか決めます。音が届かない居場所を複数作ることもおすすめしています」

リビングなどオープンスペースにデスクを置いた場合、オンライン会議の際に背景がごちゃごちゃするので目隠しをしたい人も多いです。
「根本的な解決策としては背景を壁側にするのが一番ですが、リビングの端にデスクを置いてカーテンやパーティション、家具などでゆるく仕切るのもおすすめです」
「おしゃれなデスクライトやブラケットライトをつけたり、間接照明にこだわるとスペースに広がりが出て、高級感が増します。また、棚や机に付けるテープライトやネオンライトで雰囲気を変えるなど照明を工夫するとおしゃれな空間になります。機能性だけでなく、見た目のかっこよさや部屋との相性の良さなどで椅子にこだわる方も多いですね」
ほかにも壁紙の一部を気に入った色や柄に変えると気分も上がり、お気に入りのスペースになるでしょう。「寒色系のブルーやグリーンには、気持ちを落ち着かせ集中力を高める効果があるので、リモートスペースなど作業スペースにはおすすめです」
事例にあった室内窓はリビングと繋がりを持つことができる上に、空間として抜け感もあります。他の人とは違うおしゃれなリモートスペースを作りたいなら室内窓にトライしてみるのもいいでしょう。
ここ数年でリモートスペースの多様な事例が増えており、自分の好みや自分の働き方に合うスタイルを選びやすくなりました。たくさんの事例をチェックして、自分好みのリモートスペースを見つけてください。
コロナ禍の在宅期間を経て、リモートスペースに関して明確な要望を持って相談にくる人が増えている
リモートが少ない場合、リモートスペースとしてだけでなく家族も使える多目的スペースを希望する人も多い
室内窓付きやWIC内のリモートスペースなどバリエーションが増え、自分のスタイルに合うものが選びやすくなっている