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「団地」と聞くと、「家賃が比較的安い」「家族向け」「古い」といった印象を持つ方も多いかもしれません。ですが、近年は単身者や、住民同士の交流を求める層からの需要も高まっています。
この記事では、団地の家賃が安い理由やメリット・デメリットはもちろん、団地の一人暮らし事情、人気のUR賃貸住宅の魅力、リノベーションの可能性まで、団地のすべてを深掘り。新しい住まいの選択肢として、団地の意外な魅力を発見してみませんか?
「団地」という言葉に明確な定義はありませんが、主に一団の土地に計画的に建てられた集合住宅群を指します。
日本で一般的に「団地」という場合、次の4つのいずれかであることが多いです。
さらに個別の特徴について詳しくみていきましょう。
独立行政法人都市再生機構(UR)が運営する賃貸住宅で、全国で約1400団地・約70万戸が存在します。
家賃は、周辺相場と同程度ですが、礼金・仲介手数料・更新料が不要なためトータルコストは安く抑えられます。また、世帯主が35歳以下の方や低所得の高齢者世帯などには家賃減額が適用される場合があります。

公営住宅法に基づき、地方公共団体が中心となって直接運営し、住宅に困窮する低所得者に低廉な家賃で供給されています。
以下の3つを満たすこと
※一般的な「裁量階層」の上限額。高齢者や障がい者世帯など特定の世帯には収入基準が緩和される場合があります。自治体により異なりますので検討の際は必ず確認してください
礼金・仲介手数料・更新料が不要。家賃は入居者の収入や住宅条件をもとに決まり(応能応益制度)、近隣の似たような物件の家賃よりも低く抑えられます。
自治体が設立した住宅供給公社が運営する賃貸住宅です。公社は地域ごとに設立され、制度も異なります。
礼金や仲介手数料などの有無や家賃の水準は、公社によって異なります。
参考までに、JKK東京(東京都住宅供給公社)では、すべての物件で礼金・仲介手数料・更新料が不要です。家賃は低廉に抑えられ、35歳以下の世帯は家賃が3年間20%割引の「ステップ35割」などさまざまな優遇制度があります。
| UR賃貸住宅 | 公営住宅 | 公社住宅 | 民間の団地 | |
|---|---|---|---|---|
| 事業主体 | 独立行政法人都市再生機構 | 地方自治体 | 地方住宅供給公社 | 企業 |
| 入居資格 (制限) |
収入の下限あり | 収入の上限あり 明らかな住宅困窮など |
公社による | 規約による |
| 家賃 | 近傍同種家賃 | 応能応益制度 ※ | 民間よりやや安い~民間並み | 規約による |
| 礼金 | 不要 | 不要 | 基本的に不要 | 基本的に必要 |
| 仲介手数料 | 不要 | 不要 | 基本的に不要 (公社が直接募集するため) |
基本的に必要 |
| 更新料 | 不要 | 不要 | 基本的に不要 | 基本的に必要 |
| 保証人 | 不要 | 規約による | 公社による | 基本的に必要 |
不動産会社やデベロッパーなどの民間企業が所有・運営する団地です。入居資格、初期費用や家賃は各運営企業の基準によって決まります。近年、リノベーションやコミュニティ形成を重視した新しいタイプの団地も登場しています。
例として、草加市の「ハラッパ団地」は、旧社宅をリノベーションし、農園やドッグラン、イベントなどコミュニティ型の暮らしをアミックスとハウスコムが共同で企画・提案しています。

団地ならではの傾向を、民間マンションと比較して知りたい方はこちらの記事へ。
団地とマンションの違いについてもっと詳しく→
マンションと団地の違いは?それぞれのメリット・デメリット、上手な物件選びや実例も紹介!
各住宅の特徴でも紹介しましたが、団地の家賃が安くなる背景には、「初期費用」「割引制度」「家賃設定の仕組み」という3つの要素があります。
UR賃貸住宅・公社団地・公営団地では、礼金や仲介手数料、更新料が不要な場合が多く、入居時や契約更新時の負担を軽くできます。家賃そのものではありませんが、住まいのトータルコストが抑えられます。
若い世代や子育て世帯、高齢者や収入の少ない世帯への家賃の割引や減額措置が用意されていることがあります。
公営住宅は住宅に困窮する世帯のセーフティネットとして位置付けられ、収入に応じて家賃を引き下げる制度があります。
団地には、一般的な集合住宅とは少し異なる、団地ならではのメリット・デメリットがあります。ここで紹介する内容はあくまで傾向であり、すべての団地に当てはまるわけではありませんが、主な特徴をみていきましょう。
団地暮らしは、このようなメリットを受けられる傾向にあります。
団地は、現代の分譲新築マンションよりも広々とした間取りも多く、団地を中心に街づくりがされているケースが数多くあります、周辺にも暮らしに便利な施設がそろっている傾向です。
一方で、団地によくある不便さも存在します。主に建物の古さからくるもので、築40年以上のストックが多いため次のような点があります。
断熱性や防音性は、住む人がある程度の工夫はできるものの、建物の構造によるところが大きいです。また、オートロックやエレベーターなど、人気の共用設備が無いことも。専有部分の設備も古くなっている可能性が高いです。
しかし、近年は団地の建て替えで建物自体の性能をあげたり、リノベーションで設備を新しくしている団地も。あくまで傾向として捉え、物件情報や内見で確認しましょう。
かつて団地は、学校・公園などとともに整備され、子育て世帯向けの住宅として発展しました。しかし現在は、単身者が中心になりつつあります。
URが実施した調査(令和2年UR賃貸住宅居住者定期調査)では、単身世帯が41.9%で最多で、夫婦+子世帯(18.5%)を大きく上回っています。単身者の半数以上が65歳以上ですが、高齢者の新たな入居が増えたのではなく、居住者の年齢があがったため。長く住み続けている方が多いことがわかります。
さらに、アミックスによると、ハラッパ団地では入居者の約3分の1が単身者とのこと。
また、若い世代に向けた施設や仕組み、割引制度を導入しているなど団地は今や、ファミリーに限らず幅広い層に選ばれる住まいへと変化しています。

団地には、単身でも暮らしやすい住戸も多く存在します。築古の物件は広めの間取りが多いため、新築の物件より広々とした一人暮らしがかなうことも。
「ハラッパ団地には、リノベーションした1LDKと2DKの2種類の間取りがあります。専有面積はどちらも52.26m2ですが、リビングに仕切りを入れることで、一人暮らしからDINKS、ファミリーまでさまざまな居住スタイルに合わせています」(アミックス)

URは、初期費用が抑えられる点や、広々とした緑豊かな屋外空間、多様なライフスタイルに合わせた住まいが選べる点から、多くの人々に選ばれ続けています。
UR賃貸住宅は、独立行政法人都市再生機構(UR)が運営する公的賃貸住宅。かつては戦後の住宅不足を解消するため、中堅勤労者むけに住居を供給していましたが、現在は、既存住宅を管理し、良好な住環境を備えた賃貸住宅を供給しています。
UR賃貸住宅の家賃は、近隣にある類似の賃貸物件と差が出ないように設定されているため、特別安いということはありません。しかし、保証人/礼金/仲介手数料/更新料の4つが不要なため、安く契約・維持できる傾向にあります。
UR賃貸住宅のうち築40年以上が全体の6割以上を占めており、古さは残るものの、リノベーションや建て替えが進んでいます。
約70万戸を管理するURには、物件ごとに多様な間取りがあります。ここからは、実際のUR賃貸住宅の間取りを紹介します。
高経年化した団地を、URが2006年から2024年にかけて建て替えた「ヌーヴェル赤羽台」の1Kの間取り。29m2で、約2.9畳と広めのキッチン付き。収納は玄関収納、廊下の物入れ、洋室のクローゼットの3箇所。

湘南の海まで徒歩圏内の「コンフォール茅ヶ崎浜見平」は、1964年に建てられた大規模団地をURが2005年に建て替えを着手した物件。2人暮らしにぴったりな2LDKに、サービスルーム(建築基準法上、居室としては認められないが、物置、納戸、趣味の部屋など、さまざまな用途で活用できる部屋)付きの部屋がある。

緑豊かな港北ニュータウンに位置し、1995年に竣工された「コンフォール東山田」の、家族でゆったり住める4LDK(99m2)の間取り。4部屋の内訳は、洋室と和室が2部屋ずつ。

時代に合わせてさまざまな間取りを提供してきたUR。現在も一人暮らし向けからファミリー向けの間取りを取りそろえています。また、郊外や駅遠の物件だとしても、1階にスーパーや飲食店が入っている場合もあり、利便性が確保されていることも。
UR賃貸住宅を探したいときは、公式サイトや地域のUR営業窓口で検索・相談が可能です。
また、SUUMOなど不動産ポータルサイトでも物件情報が掲載されています。
UR都市機構の物件を探す→
UR賃貸住宅|SUUMO(スーモ)賃貸
賃貸物件では、一般的に現状回復が求められるため、模様替えやリノベーションは制限されがち。しかし団地の場合、すでにリノベーション済みの住戸や、一定の条件下で改修が認められている物件も存在します。
URには、原状回復不要で、躯体(くたい)以外の部分は原則DIY可能な「UR-DIY」という住宅シリーズも存在します。リノベーションを楽しみたい方は、リノベーション可能物件を探し、改修可能な範囲や申請方法を確認しましょう。
MUJI HOUSEやIKEAなどの民間企業とURがコラボし、統一感のあるリノベーションを後押しする取り組みもあり、URの公式サイトではリノベーションした部屋を絞り込んだ検索も可能です。


ハラッパ団地では、レトロ感を残したリノベーションが特徴的です。
「古さが残る水回りは刷新し、団地ならではの横に広いリビングはそのまま活かし、この物件では、引き戸間仕切りを設置しました。梁やサッシなど、レトロ感のある意匠を一部残す方針でリニューアル。入居者の方には好感を持っていただけています」(アミックス)

リノベーションをした団地の実例についてもっと詳しく→
マンションと団地の違いは?それぞれのメリット・デメリット、上手な物件選びや実例も紹介!
「団地住まいでリノベーションをしたい」と考えているのなら、リノベーション済みの部屋を探すか、許可されている部屋を探し自分でリノベーションする方法があります。管理主体ごとにルールや手続きが異なるため、必ず事前確認することが大切です。
団地は、もともとの間取りや構造自体に時代の特徴が色濃く残っています。そのため、無理に現代的なデザインへと一新するのではなく、URのように企業とコラボレーションしたり、ハラッパ団地のようにレトロな趣や味わいを活かしたリノベーションをすることで、団地の個性を引き出せる可能性があります。
団地の魅力のひとつに、住民同士の交流を促す仕組みがあります。分譲マンションと比べても、団地は敷地が広く、共用施設やイベントが整っているケースが多いのが特徴です。
例えば、ハラッパ団地は定期的なイベントや、住民同士の交流や文化体験を促す共有施設が豊富に用意されています。
「団地内にある畑で農業体験と、夏祭りや餅つきなど季節に合わせたイベントを、それぞれ月に1回ずつ開催しています。弊社とハウスコムさんのコミュニティマネージャーが主体となって運営していますが、入居者の方も積極的に運営に参加し、アイデアを提供してくださっています。
また、畑とドッグランがすぐ隣にあったり、無料で使用できるコミュニティスペース「101号室」があるなど、交流しやすい空間が用意されています。誰でも入場できるコミュニティスペースとしてのマルシェのほか、入居者の方が主催するヨガやハンドメイド教室になることも。団地と地域の方をつなぐ拠点にもなっています」(アミックス)


ヌーヴェル赤羽台の19号棟1階には、畳敷きで落ち着いた雰囲気の居住者専用ラウンジ「よむよむ」があります。読書やPC作業はもちろん、工作や手芸、子どもの遊び場としても活用できる便利な共有ペースです。居住者と同伴なら団地外のご友人も入室OK。予約なしで自由に使えます。

また、団地ならではの共有施設として、公園や緑地、広場が敷地内に整備されている例が多いです。
「UR賃貸住宅の洋光台北団地では通路を広く取り直し、照明を改善して『団地の散歩道』として住民が歩きやすい環境を整えています」(UR都市機構)

団地は「家族向けの安い住まい」というイメージが強かったものの、今では単身者や高齢者、カップルなど多様な世帯に選ばれる住まいへと変化しています。入居のしやすさや広さに加え、リノベーションや交流イベントといった新しい魅力も加わり、団地の可能性は広がっています。
団地には、UR賃貸住宅・公営住宅・公社住宅・民間が運営する団地などの種類がある
家賃が安い理由は、「社会のセーフティネットとして安く抑えられている」場合(公営団地・公社団地)と、「郊外で築年数が古い物件が多いため安い傾向にある」場合がある
一人暮らしをしている単身世帯は多いと言える(UR賃貸住宅で41.9%)
リノベーションやコミュニティなどを通じて、豊かに暮らせる団地の可能性が広がっている
●取材協力
都市再生機構(UR都市機構)
ハウスコム株式会社
経営企画部 広報グループ
株式会社アミックス