2025/12/28 19:00 up
2)
「あの時すごかったよね」
「あー、確かに。あとさ……」
二人で鍋をつつきながら、今年起きた事を振り返る
話が尽きぬまま共に酒もすすみ、ふと腕の時計に目をやれば午前2時を回っていた
「っ、はぁ……っ、結構飲んだな…」
「大丈夫だよ、元日は二人とも仕事ないし」
「そうだね」
「……今回もなんだかんだでバタバタと年明けちゃったね」
ふう…とマロンがため息をついた
「そうだね…まぁ仕事柄、ゆっくりした年末年始はなかなか難しいよね…」
「……私…大好きなひととひとつに繋がって年越しするのが夢なんだよね」
へえ…こんなこと素直に言ってくるってことは、さてはコイツ結構酒回ってるな
俺は黙ってグラスに残っていた酒を流し込む
「……今回も叶わなかったけど」
そう言って少し寂しそうに微笑うその表情に、俺の心臓がドクンと跳ねた
「……じゃあさ、今から年越し……する?」
グラスをコトリとテーブルに置くとマロンの側ににじり寄り、その足に膝立ちで跨がって上から見下ろした
「っ、えっ、どういうこと…?」
俺はニヤリと微笑うと左腕をマロンの前に突き出して
「ほら、こうすれば2025年12月31日の23時00分……」
左腕の腕時計をつまんで回す
「あと1時間で年が明けるけど…どうする?」
「●●君っ」
俺を見上げるマロンが嬉しそうに顔を綻ばせた
どうしたいか言葉なんてなくても、その顔を見ただけで十分伝わってくる
「マロンの夢……叶えてあげる」
そう言ってゆっくりとその唇を塞いだ



