2025/10/17 11:53 up
秋風が通り抜けるたび
どこからともなく
甘い香りが流れてきます
思わず足を止めて
周囲を見渡すと
葉の間から金木犀が
小さな橙のお花を零すかのように
咲いていました
漢名で「木犀」と記される金木犀は
樹皮が動物の犀(サイ)の肌に
似ていることから
名づけられたといいます
古くは「九里香」とも呼ばれ
九里先まで届くほど芳しいと
讃えられてきました
日本では橙色のお花を咲かせる
金木犀が親しまれておりますが
原種は白いお花を咲かせる銀木犀
本来、雌雄異株であるのですが
中国から伝わったのが
雄株だけでしたので
日本には雄樹しか
存在しないのだそうです
それゆえ、
儚くも実を結ぶことはなく
ただ香りのみを残して
秋を告げてくれますが
実らぬその命が放つ香の深さこそ
人の心を打つのでしょう
甘く、切なく、
そしてどこか懐かしいその香りに
私たちはまた季節の巡りを
知ることができます✨



