2025/12/05 08:00 up
丘の上から叫ぶ貴婦人
下を見れば尖った崖と...荒れた海。
あれは忘れもしない20年前。
すごく綺麗な平屋の家に1ヶ月滞在することになったんです。
午後14:26になると、貴婦人の叫びが必ず聞こえてくる...毎日毎日決まって午後14:26...
叫び、雄叫び、唸り声、笑声、時折...嗚咽も聴こえる...何を言ってるんだろう?と耳を傾けても、何を言ってるのかはさっぱり分からない...
あの貴婦人はきっと僕の存在に気付いてるはず...なのに振り向きもしない、それが妙にリアルで、怖さすら感じる...
丘の上の先端に立つ貴婦人...
吹き荒れる風
微動だにしない
その姿は美しき白鳥のよう
真っ白の透き通る肌
服は純白の死装束
気を抜けば
僕が呑み込まれそうな
そんな空気感...
今日も変わらず叫んでいる
僕は貴婦人をジッと見つめている
まるで怖いもの見たさに...
毎日決まった時間に始まる彼女なりのワンマンショーなのか...
それは14:26〜14:30までの4分間
僕の滞在最終日、決まって彼女は現れた。でも今日は何かがおかしい、時計を見ると14:28...2分遅れでやってきた。僕の体内時計もその異変に気付いたようで...今日は何も叫ばない、一点をジッと見つめている、なぜか震えている、僕が瞬きし目を開けたその時...
彼女は消えていた...
僕は慌てて彼女が居た場所まで走り、崖の下を覗き込んだけど誰もいない...
消えたのか、夢だったのか、何だったのか、僕には未だ何にも分からない...
何かのメッセージだったのか、もうあれから20年経つけど、僕の中でのミステリー事件として、心に刻まれているんです...



