2025/12/21 20:52 up
100年後も読んでいたい小説
町田康さんの書いた「告白」という長編小説があります。
この小説はいつか僕が死んでしまって棺に入る時に一緒に入れてもらおうと思ってる大好きな作品です。
【河内十人斬り】という1839年に実際に起こった大量◯人事件を題材にしていて、事件を起こした城戸熊太郎という男が、この小説の主人公です。
彼が幼少期どのように育ち、どんな経験をして、どんな経緯で◯人犯になり、どのように終わるのかまでがしっかりと描かれています。
初めてこの本を読み終わった時、僕は本気で熊太郎を抱きしめたくなりました。本を読んで泣いた経験はこれが初めてでしたが、こんなに読み終えたくないと思った小説も初めてでした。
熊太郎という人間の生き様を文字越しで感じた時に、親友に巡り会えたような錯覚がありました。熊太郎は不器用でやることなすこと全く上手くいかない、それでいて素直で騙されやすくて子供の頃から大人になってもずっと痛い目ばかり見ます。ちょっと得をすればすぐ調子にのってまたすぐ酷い目にあって落ち込んで…そんなことばっかりやってます。
そうしてみると熊太郎は本当にどこにでもいる少年なんですよね。でも抱えている劣等感や孤独を誰にも見つけてもらえない少年でした。実は幼少期は親からも愛されていましたし、容姿もなかなかの美男子なんです。ただ彼自身が自分で自分を不幸へ追いやっていってしまうんですね。
ただ何をやっても上手くいかないし、上手くいかないことばかり故に、自分の生き方にもずっと自信がもてないんです。
信じていた人にも次から次へと裏切られたり、後半は思い出すだけでも胸が痛みます。
そんな彼の生き方を見ていて僕はすごく自分ことのように共感できてしまったし、僕もつらいことたくさんあったけれど境遇が割と似ていたのもあって「1人じゃないんだ」と思えたんですよね。
本の中で友達ができたっていう感覚もこれもまた「告白」が初めてでした。
見た目はかなりボリュームがあり手を出すのに躊躇しそうですが、一度ページを開くと止まらなくくらい読みやすく深く入り込めます。
僕は熊太郎に会いたい時、この本を捲ります。彼の孤独に触れると心が温かくなるんですよね。お前は1人じゃないよと隣で囁いてくれるようなそんな不思議で心強い人生の小説です📚
詩



