2025/11/27 19:14 up
スローヴィクは自身の人生と作品を台無しにしたゲスト達に、最高傑作の一部になる様に伝えるとゲスト達にマシュマロのエプロンとチョコレートの帽子を着用させ、床にシリアルを撒く。
スローヴィクは清めの炎で全員溶け合って一つになると語ると、シェフ達はその場に火を放ちゲスト共々火に包まれた。
ゲスト達の最後の1品は『スモア』だった。
マーゴはレストランから上がる火の手を船の上から眺めチーズバーガーを頬張ると、その口元をお土産に入っていた本日のメニュー表で拭い捨てるのだった。
②感想・考察
仕事のやるせなさに狂ってしまったシェフの話。
スローヴィクの心情はあまり語られないので、断片的に明らかにされる情報を頼りに彼が何故全員を殺さなければならなかったのか、又何故マーゴは逃したのかを考察して行きたいと思います。
まずは登場人物の整理。
名前も語られない登場人物がいるので、その点はご容赦頂きたいと思います。
又、3品目『記憶』に出て来たトルティーヤに書かれた各自の秘密についても触れたいと思います。
〜ゲスト〜
・タイラーとマーゴ
タイラーはパコジェットと言う業務用のチーズ粉砕器を個人で所有する程のグルメマニア。
マーゴの本名はエリン。
職業は娼婦でタイラーに雇われて参加した。
トルティーヤの絵:禁止された料理の写真を撮影するタイラー。
・リリアンと出版社の男
スローヴィクが成功する切っ掛けを作った女流評論家、
しかし、その一方で数々の料理人を酷評し追い込んでいた。
トルティーヤの絵:かつて酷評して閉店に追い込んだ店。
・リーブラントと妻
リーブラントは富豪で、スローヴィクのレストランにも過去11回訪れていた。
しかし、その料理をひとつも覚えておらず、妻が覚えてた料理もタラではなく貴重なオヒョウの料理だった。
トルティーヤの絵:若い女性と密会するリーブラント、この若い女性はおそらくマーゴ。
・チンピラ3人組
スローヴィクのスポンサーであるヴェリクという人物の部下で、その権威を傘に着て横暴な態度をとる。
トルティーヤの絵:普段生業としている偽造請求書作成のノウハウ。
・映画俳優と連れの女性
スローヴィクが何ヶ月ぶりかの休日で観にいった映画の俳優。
俳優自身も認める駄作だった。
トルティーヤの絵:かつて出演した駄作映画。
〜レストランのスタッフ〜
・スローヴィク
調理長。
リリアンに見出されて成功し、ヴェリクのレストランでプライベートを捨ててまで富豪達に料理を振る舞い続けて来た。
・ジェレミー
副料理長。
スローヴィクに憧れ弟子入りしたが、心身をすり減らす毎日にスローヴィクの日常には憧れないと感じ自殺した。
・キャサリン
副料理長。
女性料理人で、スローヴィクに迫られていたが拒否していた。
全員死ぬ企画を考えた張本人で、リリアンとのやり取りから、かつてリリアンに追い込まれた料理人の1人であると思われる。
・エルサ
使用人のアジア人女性。
柔和な態度の裏に闇を抱えており、マーゴに役割を奪われると感じ襲い掛かる。
・シェフ達
10人程度居るシェフ達、スローヴィクの指示には一糸乱れぬイエッサーで返答する。
彼と共の死ぬ事を受け入れている。
〜スペシャルゲスト〜
・ヴェリク
レストランのオーナーで、スローヴィクのスポンサー。
チンピラ3人組は彼の部下。
おそらくスローヴィクに富豪向けの料理を作らせ続けた張本人。
スローヴィクのメニューに口出しした事で海に沈められた。
・スローヴィクの動機
さて、スローヴィクが凶行に至った理由だが、一言で言うと仕事のストレスである。
スローヴィクは富豪向けメニューを作る為に心身をすり減らし、スローヴィクを尊敬するジェミニにすら、その日常には憧れないと言われた程である。
スローヴィクにも妻子がいた事が私室の写真で示唆されているが、数ヶ月に一度の休日に1人で映画を観に行っている辺り、家族とは別れている様である。
プライベートを犠牲にしてまで用意した料理だが、リーブランドは全くメニューを覚えておらず、その妻は貴重なオヒョウをタラと勘違いしていた。
更に評論家のリリアンは無責任にシェフを酷評し、レストランを閉店に追い込んだりしていた。
この様なシェフの努力を踏み躙られる思いが続く内に、味も分からないのに富豪向けメニューを求める富裕層への怒りを募らせて行ったものと思われる。
映画俳優の連れの女性は出身大学と学生ローンを借りていない事を理由に死すべしと判断されており、その怒りは富裕層そのものに向かっている様である。
ちなみにこの映画俳優自体は、数ヶ月に一度の休日で見にいった彼の映画がつまらなかったと言う理由で死の運命を押し付けられた。
映画俳優に仕事への熱意がない事を看破されており、スローヴィクの芸術家としての怒りに触れた様であるが、ほとんど八つ当たりの様にも思える。
このような富裕層向けの仕事をさせたのは、スローヴィクのスポンサーであるヴェリクだったと思われる。
何故なら1食1250ドル(約20万円)のこのレストランはヴェリクのもので、スローヴィクは雇われシェフに過ぎないからだ。
ヴェリクはスローヴィクが考え抜いたメニューに口出しをした事でスローヴィクの怒りを買い、その横暴な部下3人組とセットでギルティと判断された。
張本人のヴェリクは無駄に天使のコスプレをさせられ海に沈められ、その指はゲストへのお土産にされた。強い憎しみを感じる。



