2025/11/21 17:13 up
『僕が死ぬだけの百物語』
タイトルからは怪談オムニバスを想像しますが、読み進める内に、そこに隠された『もうひとつの物語』がじわじわと浮かび上がってきます。
全10巻・100話の怪談を描き切り、2025年に完結した本作は、ホラー好きはもちろん、考察好きの読者にもじわじわ評価されてきた作品です。
今回は、この『僕が死ぬだけの百物語』の全体概要と、物語の核となる構造・謎について語りたいと思います☺️
※ネタバレあります
基本構造:百話怪談×裏にある物語
表向きは「百話物語」。
主人公の少年が百の怪談を語るオムニバス形式ですが、その百物語は実は 『誰かに向かって語られていた』ものでした。
最終話で判明するのは、その相手が『母親の遺影』であった事。
主人公は失った母に会う方法を探し、毎晩一人で百物語を続けていたのです。
・物語のはじまり:母を亡くした少年が選んだ百物語
主人公の少年・ユウマ君は、小学校の時に母親を早くに亡くし、義両親のもとに引き取られていました。
しかし、待っていたのは、義両親からの虐待とネグレクト。
母親の死と相まって、日に日に追い詰められたユウマ君は、母親と一緒にいたい一心で小学校の校舎の窓から身を投げようとします。
その時、彼を止めたのが同級生の少女ヒナちゃん。
ヒナちゃんはユウマ君に『百物語』を勧めます。
「百物語を全部語り終えたら、本物の幽霊が現れるんだって…」
それは時間稼ぎのつもりでした。
ヒナちゃんは「今は何かにすがって生き延びてほしい」と思ったのです。
こうしてユウマ君は、自室で静かに百物語を始めます。
・静かに忍び寄る怪異達
物語の序盤は、怪談を語るユウマ君の日常が淡々と描かれます。
しかし20話を超えた辺りから、不穏な現象が現れ始めます。
義母の手に突然鉛筆が突き刺さる。
ぬいぐるみ「ウマキン」に宿る怪異が出現。
やがて義母は「この部屋には何かいる」と怯え始めます。
怪異は少しずつ、虐待していた義両親に牙を剥き始めて行くのです。



