2025/11/14 20:12 up
タゴサクは最後の爆弾を明かさない。
終わらないゲームに世界を閉じ込める。
これが彼の「勝利」です。
類家が「最後の爆弾は見つかっていない」と言い残すラストは、日常に潜む恐怖が永遠に続く事を示唆する。
考察するとタゴサクの目的は二つあります。
①世界がぶっ壊れる様を操り中心に立つ事。
②警察側の人間に『お前らは俺と同じだよ』と告げる事。
①は爆弾テロで達成したが、②は類家と等々力に阻まれた。
だから「引き分け」と言う事です。
・覚悟の物語『踏みとどまる』事の難しさ
タゴサクの真理に対する応答として、映画は『覚悟』を描く。
・類家の覚悟
山田裕貴演じる類家は、天才的推理力を持つ交渉人です。
彼が発する言葉。
「世界を壊すことは簡単だが、壊させないために働く方が難易度が高い」
簡単な方に転ばない覚悟。
類家は
「明日香さんは本当は自首を勧めて欲しかったのでは」
と指摘する事で、タゴサクの脆さを突く。
悪の化身の様な存在にも、どこかに人間的な弱さがある。
類家はそこを見逃さない。
山田裕貴氏は
「性善説、性悪説、語り出したらキリがないとは思います。環境によって、自分の心の傷によって人はいくらでも歪んでいく。それを誰かのせいにせず受け止めて、乗り越えていけるか…」
とコメントしている。
・等々力の覚悟
染谷将太演じる等々力は、過去を抱える所轄刑事だ。
彼も又
「世界が壊れるのを期待しながら、その気持ちに蓋をして警官として生きる事を全くつまらないと思わない」
と語る。
悪魔の誘惑をはじき返す姿勢が、タゴサクの二つ目の目的を挫く。
染谷将太氏のコメント。
「登場人物全員の業が垣間見え、善と悪の欲が炙り出された時、映画館を訪れた皆さんの業も炙り出されるかもしれません」
この映画は観客自身に「あなたは踏みとどまれるか?」と問いかけてくる。



