2025/11/14 19:14 up
タゴサクの動機には、もう一つの層がある。
世界から無視された存在が、強制的に全ての視線を集める方法としての爆弾テロ。
評論では『無敵の人』と言う現代的文脈で語られる。
失うものがない人間は、何をしでかすか分からない。
物価高騰、貧困化、孤立化が生む現代社会の闇です。
だが映画は、タゴサクが辰馬の計画を「乗っ取った」代理人に過ぎないと明かす事で、「神格化された悪が急に矮小化された」と言う評価を呼んだ。
これは賛否が分かれるポイントです。
タゴサクの圧倒的な存在感が、真相判明後に「ただの小物」に見えてしまう。
この落差をどう受け止めるかで、評価が変わる。
・社会システムの偽善性
タゴサクは警察組織の体面主義を徹底的に突く。
組織の体面を守る為に正義や法を曲げる警察、責任を取らない上層部、圧力に屈する判断。
そして極めつけはSNSです。
劇中、タゴサクの告白動画を安易に「拡散」や「いいね」するユーザーが、後から慌てて消す姿が描かれる。
「自分は関係ない」と言う無関心と無責任への痛烈な皮肉です。
映画レビューには「安易に『拡散』や『いいね』を押して、その後慌てる姿には苦笑するしかなく、自分もそうかなぁという気持ちもあり」という感想があります。



