2025/11/14 18:13 up
原作ファンから「MVPはやはりタゴサクを演じた佐藤二朗」・「原作のイメージを超える超絶演技」と絶賛されています。
137分の大半が取調室での顔のアップという構成は、小説にはない映像の強みです。
「セリフを言うテンションや抑揚、表情で、映像だからこそ感じられるタゴサクの禍々しさ」が炸裂している。
永井聡監督は
「原作の重厚感を表現する為こんなにも役者達と話し合い、掘り下げたのは初めて」
とコメント。
原作の詳細な心理描写が削られた分、俳優の演技力で補完する戦略が見事に機能したと思います。
・タゴサクの真理。「お前らは俺と同じ」と言う悪魔の福音
スズキタゴサクとは何者なのか。
身元不明、「霊感がある」と主張し、1時間ごとに3回の爆発を予告する謎の中年男。
だが、その本質は単なる爆弾魔ではない。
・世界破壊の肯定論
タゴサクが発する中心的問いかけ。
「爆弾なんて爆発してもどうでもよくないですか?」
これは単なる挑発ではなく、彼の世界観の核心だ。
「正しさがまともに運用されていないクソみたいな世界」。
孤立と失望の果てに、タゴサクは世界が壊れる様を操り、その中心に立つ事を目的とする。
彼は「世界精神型ヴィラン」。
大状況を演出し世界に物語を見せる事で、世界自体を書き換える存在です。
・人間の本質の暴露『内なる爆弾』
「誰もが心の中に爆弾を抱えている」
これが本作の最も重要なテーマです。
タゴサクは物理的な爆弾を仕掛けると同時に、言葉で人間の内側にある『見えない爆弾』に火を着ける。
長谷部刑事の不祥事、明日香の息子殺し、伊勢の野心。
誰もが表と裏の感情を「同居」させている。
タゴサクはその境界線の脆さを突き、
「お前らは俺と同じだよ」
と囁く。
映画『JOKER』を観終わった時と似た感じでエンドロールをみていた。
スズキタゴサクに問われている気がして、完全に否定する自信もない。
この不安こそが、タゴサクの真理が持つ破壊力です。



