2025/11/09 18:13 up
基本的には、魔法の存在する世界で架空の食材でご飯を作る話。
しかし、繰り返しになるがその世界観は非常に現実的に描かれている。
そもそも冒険するにも、防具の購入、ダンジョン内での水・食料調達、パーティー参加者への報酬支払い等、お金がとてもかかる。
ドラゴンから辛うじて逃げられたライオス達は妹救出の為に再びダンジョン入りを目指すがお金がない。
ここで、タダ働きを拒否してパーティーから2名離脱。
確かに冒険といえどもタダ働きはダメ、絶対。
尚、ライオスはトールマンと言う人種で、パーティーは様々な種族・人種で構成される事が多い。
ライオスのパーティーは仕方なく、魔物を素材に自給自足しながら冒険を続ける事になる。
ダンジョン内はまさに『食う』か『食われるか』がオブラートに包まれる事なく展開される世界で、前に進む為、生きる為に、どんなに強い魔物でも出会ってしまったら戦って倒さなければならない。
この魔物達、生態の在り方がものすごく丁寧に描かれています。
調理、つまり生き物の命を頂く行為を通じて、ライオス達は多くの事を考え試行錯誤する。
例えば、キノコ型の魔物は繊維に沿って縦切りすると刃が入れやすいと調理中に気づき、今後の戦い方の参考にしたり、人間を捕食した人喰い植物を食べる事は倫理的にどうなのか仲間同士で言い争ったりする。
ダンジョン内は地上と同様に微妙な均衡の上に食物連鎖が成り立っていて、どこかの階層でバランスが崩れると他の階層にも変化が生じる。
必要以上の獲物を刈り取ってはいけないと、料理担当のセンシ(ドワーフ)は何度も説く。
全体を通して、あらゆる生き物への敬意が淡々とかつ温かく描かれている。
バランスの大切さは『欲望』にも通じる。
『欲』が過剰になると周囲も自分も破滅に導くし、逆に全く『欲望』がないと生きる意志も湧かないだろう。
何事もほどほどが良いと言う事です。
・魅力的なキャラクター達
各キャラクターも人間くささが良く出ていて掛け合いが楽しい。
それぞれに違う考え方や能力を持つので、ピンチの時にはパーティー内でカバーし合う事も出来るし、意見が違う事も良くあります。
ライオスの妹をどんな事をしても助けると、報酬を気にせず冒険を続けるマルシル(エルフ)は真面目で頑張り屋。
理想の姿に化けて相手を惑わす魔物との戦いで明らかにされてしまった理想のタイプの男性、いわゆる白馬に乗った王子様が想像の斜め上の姿をしていて、声を出して笑ってしまった(笑)。
合理的で、自分の命が一番大事と言うチルチャック(ハーフフット)はライオス達を置いてダンジョンを出ようとするが、得手不得手を活かして助け合ってきた事、4人で食事を囲んだ時間を前に葛藤する。
「バ⚪︎ばっかり」と悪態をつきながらも彼らに死んでほしくないと言う本当の気持に気付く。
主人公ライオスは、決してカリスマ的な最強ヒーローではない。
しかし、魔物への抑えられない知的好奇心、自分よりも他者の無事を純粋に喜べる優しさや朴訥とした人柄は好感が持てます。
仲間よりも魔物への知的好奇心が若干上回る時もあるのが絶妙だが、頼りなくも思いやりと強い意志を持つ事で良きリーダーになっている。
『食べる事』の持つ力を全面的に信じている本作。
この世界にも長い歴史の中で生じた種族間の確執があり、ダンジョンに取りつかれて『欲望』に支配され、正気を失う者もいる。
その中でライオスは、この戦いが終わったら(種族も国も関係なく)皆で食事をしようと提案する。
生き物に対する分け隔てない『愛』があるからこその発想だろう。
そして、この『愛』が崩れたバランスを修復する事に繋がる。
③最後に
2024年に放送されたアニメ版によって、さらに多くのファンが『ダンジョン飯』の世界に触れる機会を得ました。
アニメでは、映像や音楽を通じて原作の魅力が更に広がり、今後も関連イベントや続編制作等が期待されています。
全14巻という程よいボリュームで完結しており、気軽に一気読みが可能です。
冒険、ファンタジー、グルメと言う異なる要素が絶妙に融合した本作は、新しい物語を求める全ての読者におススメです?
この作品を通じて、未知の世界への冒険と料理を楽しむ旅を是非体験してみて下さい😇



