2025/10/05 20:03 up
いかがでしょうか、『ウルトラセブン』が初放映から50年以上経っても多くの人に視聴され、評価され、考察され、円谷プロの代表番組となっているのは、重厚なSF特撮と言うテーマが根底にありながら、子どもにも支持されて、実相寺作品にも見られる様な日本人の情を刺激する情景描写がスパイスの様に散りばめられているからです。
そのバランスが実に絶妙で、『ウルトラセブン』を唯一無二の不朽の名作へと形作っています。
雰囲気から何から何までただ大人向けに作っていったら、ここまで語り継がれる作品にはならなかったかも知れません。
子どもが『セブン』の本編を視聴した時、何を感じながら見るでしょうか。
26話「超兵器R1号」や42話「ノンマルトの使者」に代表される様な、仕込まれた難解な哲学的テーマを洞察する大人びた子どももいるかも知れませんが、ほとんどはセブンと宇宙人とのバトルを楽しみに視聴します。
ドラマパートで人間世界で暗躍する宇宙人に恐怖のどん底に落とされ、セブンと言うヒーローが現れ、警備隊と共にパワーや技巧を駆使して人類の脅威に立ち向かう。
そんなヒーローモノの王道がそこにはあるのです。
空を飛び、力技や光線や飛び道具で戦うセブンと、成田氏と池谷氏のデザインした印象的な宇宙人・怪獣たち。画面の中に躍る「異形のもの」に子ども達は空想を膨らませ、好奇心の萌芽が生まれるのです。
高年齢層の意識したSFドラマと言うテーマでダークで落ち着いたオトナな雰囲気を基調としつつ、ヒーロー番組としてのゴールデンパターン・昭和年代の香りを装飾する。
ここが他のシリーズとは違う『ウルトラセブン』の特質なのです。
この特質が、子どもの頃に『ウルトラセブン』を見て、大人になって新たに気付く魅力に惹かれ、こうして子どもと大人両方の目線を知って親になった大人は、又自分の子どもに『ウルトラセブン』を見せると言う循環を創っているのです。
テレビから雑誌・個人ブログ・日常会話に至るまでファンを熱くさせる、いつまでも色褪せない『ウルトラセブン』が、これからも語り継がれていくことを切に願っています😇



