2026/01/10 12:40 up
境界がゆらいだとき
人はなぜあんなにも静かに熱を覚えるのだろう。
寝ぼけ、酔い、麻酔。
どれも、意識の輪郭が少しずつ滲んでいく。
世界がぼんやり沈むのに
心だけは妙に冴えているあの感じ。
触れられてもいないのに
触れられた気配だけが皮膚に残る。
その曖昧さがいちばん危ない。
寝ぼけた朝、呼ばれた名前がゆっくり身体に落ちてくるとき抵抗なんてできない。
酔った夜、距離のはずなのに近い声が
気づかないうちに境界を少し削っていく。
麻酔の効き始めはもっと奇妙だ。
自分の身体が自分より先に沈んでいく。
判断が追いつかない速度で、
“委ねる準備”だけが整ってしまう。
快楽は、強い刺激では生まれない。
境界がゆるむ。その一瞬の“差”で立ち上がる。
主導権が自分の手からこぼれ落ちそうになるとき
脳はなぜか安心する。
抗わなくていいと判断して
深いところでひそかに熱を灯す。
支配は命令じゃない。
境界に触れずに揺らす技術。
触れられてはいないのに
触れられたように錯覚してしまう距離。
その距離感で、人は従う。
従わされるんじゃなくて従いたくなる空気。
その空気が生まれた瞬間、快楽はもっと深く沈む。
境界は壊せば終わる。
揺らせば始まる。
どの境界が今、揺れているのか──
それに気づいた人から静かに落ちていく。
文章があなたの輪郭に触れたなら
いいねやスキでそっと合図を。
その一手間が、
わたしのどこかを、また揺らす。
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☆note更新中/夜の百景
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望月



