2025/12/26 17:05 up
24日 16:00 S駅 8度目ましてさま❤️
半年ぶりの彼から、突然届いたメッセージ。
『いおり、ひさしぶり🖐
今日キャンセル出たでしょ?
クリパ前に乾杯しよー🥂』
そう、この日の夕方。
発熱でキャンセルになってしまったお客様がいて、
ぽっかり空いた時間。
そこに、彼が現れた。
画面を見つめたまま、胸が弾む。
ひさしぶりに逢える。
しかも、クリスマスイブ。
部屋のドアが開く。
――そう。この笑顔。
何度見ても、やっぱり好きだと思ってしまう。
手を取られて、そのまま部屋の奥へ。
視線の先には、
氷をたっぷり抱えたワインクーラーと、
寄り添うように並んだフルートグラスがふたつ。
「ずっと待ってたんだよ?どうしてたの?」
少し拗ねたみたいに言うと、
彼は肩をすくめて笑う。
『まぁまぁ。いいからさ。先に乾杯だろ?』
ポン、と小さく弾ける音。
グラスを合わせて――
『メリークリスマス』
泡と一緒に、半年分の時間が溶けていく。
たくさん話した。
仕事がどれだけ大変だったか。
余裕がなくて、何もできなかったこと。
連絡ひとつ送れなかった自分を、
少し悔やんでいること。
『何もできなかったんだよな……』
そう呟く横顔に、言葉は返さず、そっと距離を詰める。
自然に、キス。
ゆっくり。
確かめ合うみたいに、何度も。
唇が離れたあと、彼は少し照れたように笑って、
伊織を見つめた。
『……それ。覚えてたんだ』
何を指しているのか、聞かなくてもわかる。
焦らず、丁寧で、逃げ場を作らない――
伊織の、あの“感じ”。
触れ方も、間の取り方も、変えていない。
すると、彼の肩の力がすっと抜ける。
『そう……これ』
低く落とした声に、胸の奥が熱くなる。
『やっぱさ、これが好きだったんだよ』
派手じゃない。
でも、ちゃんと伝わる。
思い出してくれていたことも、
求めてくれていることも。
半年の空白なんて、最初からなかったみたいに、
呼吸と体温が自然に重なっていく。
『……やっぱり、いおりだな』
その一言が、クリスマスのプレゼントみたいで。
伊織は小さく笑った。
グラスは、もう触られないまま。
静かな夜が、ゆっくり、深くなっていく。
特別な約束がなくても、
こうして乾杯できたこと。
思い出して、戻ってきてくれたこと。
それだけで、十分すぎるクリスマスイブだった。
また半年後でもいい。
でも――思い出したら、
こうして戻ってきてくれたら嬉しいな💕



