2025/09/29 22:44 up
長所は派手な服が似合うところ、短所は地味な服が似合わないところ、出勤していますしのちゃんです
今回長くなり過ぎたので数回に分けてお届けします
なんでもない話だけれど読んでくれたら嬉しいよ
最近新しくお友達ができてね
朝の10時半から恵比寿でロシュフォールをみましょうということになって
したがって10時過ぎに待ち合わせをしたんです
でも土曜は朝から山手線が遅延していて、ぴったりくらいにおうちを出てしまったしのちゃんは山手線頼みだったわけです
そこで遅れたらごめんなさいのLINEを送ったところ、10時過ぎに「すみません!鍵が見つからなくてまだ家です!」との連絡が来て
しのちゃんはそのくらいのことではびっくりしない
でもしのちゃんが動じない人間なだけであって、彼女は知り合ったばかりの人間を待たせている人になってしまったわけだ
当然映画は間に合わない
しのちゃんはこの映画をもうたくさんみているので、とりあえず映画は諦めましょうということにして
10時半過ぎに電話がかかってきて、「今から恵比寿向かいます!」とのことだったんですが、正直映画さえなければ恵比寿である必要もない
ここで難しいのは、相手をどのくらい真っ当なニンゲン扱いすればよいのか、という点にある
気をつかいすぎてもなんか舐めてるみたいで嫌かな、とかおもうんだな
ええいままよ、「せっかくの休日だからちょっとは遠出とかしたい気持ちか、あ〜んもう全部嫌になっちゃったもんね〜かどっちの気分ですか」と聞いてしまう
どちらかというと前者らしい
後者の場合もうお開きコースにしてもよかったんですが、外出前に家をひっくり返すような騒ぎを起こしてなお私に会う気力はあったらしい
「いつおなかすきますか?なんのお口ですか?」
「正午にはすきます!ビリヤニとかどうかなとおもってました!」
しのちゃんにビリヤニはよくわからないが恵比寿とか広尾とか渋谷で土曜の昼にビリヤニに並ぶのはかなり面倒だった
よくわからないが、そういうのはあなたの住まう高円寺とかの方が盛んなのでは?
小綺麗なビリヤニ屋を知らない街で探す能力はしのちゃんにはない、これだから女とのランチは面倒なのだ、ラーメンとかじゃだめなのか、いや女の子も好きだけれど
こうなってしまった以上面倒くさいので、「とりあえず私がそっちに行きますから、ちょっとゆっくりおうちでてください、改札前でね〜」ということにしたんです
だって二人して土地勘のない恵比寿でどうしろってのよ
そうして私は高円寺へ向かったんです
私にとって高円寺在住のお友達は2人目であるんですが、1人目はいかんせん家が良すぎた
この話も時間があったら書こう、1人目の彼女の家は最高過ぎたので、私は彼女の家に遊びに行くためだけに高円寺に降りて、彼女の手料理のためにスーパーに寄る以外どこへも行かないから、彼女の家以外の高円寺をなにも知らないんです
だからここは高円寺に10年も住っているらしい2人目のお姉さんに任せて、煙草の吸える喫茶店を目指しお散歩をすることにしました
三つ年上の彼女は友達の友達だったの
彼女を紹介してくれた友達は、待ち合わせの喫茶店に「ごめんけど今からシャワー浴びるね」と連絡してくるような人だったから、しのちゃんは彼女の遅刻に関してまったく気にしていなかったんだけれど
まあでも向こうが平謝りで、いえ大丈夫です、本当に、タッチの差で私が遅刻しそうだったんですし、と
いかんせんまだ遊ぶの三回目でね、ちょっとお互いぎこちないんだ
そうしてまあまあ暑い中南口から南下していく二人
午前11時過ぎ、日陰の方を歩きましょうと少し左側に寄る
影の向きから、太陽が南に逃げてゆくのを感じる
傾いて少し光が赤いんだ
そうして新高円寺の駅前でお茶
久しぶりに和式トイレを使った、今どきハイウェイのパーキングだって見ないよね
かしましくおしゃべりに花を咲かせ、いえ話すのは私ばかりで彼女は私の話をうんうんときいていたんだ
青森の出だという彼女はどこからどう見ても縄文顔なんだけれど、歩いていて、話していて、隣にいてああ北国の人だとおもう
冬になると早朝から雪かきに出て、学校へは両親に車で送ってもらっていたのだという
生活の中にある困難を当たり前のように愛で乗り越えてきた人なのだと感じる
紹介してくれた友達は彼女について、「いろんな考え方を受け取って咀嚼して、それを自分の言葉で話したり、自分のものにしたり、どこかの引き出しに入れておいて自分と比べることや、自分もその考えも大事にすることが、ぼくの周りで一番上手にできるひとだよ」といっていた
本当にそうだった
ちょっとしたブラックジョークにお互い笑ったりもするけれど、彼女の言動はおよそ誰も傷つけることがなかった、こんなことがあるのだ
彼女にわかることもわからないことも、わかろうとしてわからないきっかけもわかれないことも素直に示してくれながら、身体をこちらに傾けて話を聞いてくれることがとても嬉しかった
しのちゃんは奥二重界の中では随一の目の開きをしているようにおもう
しかしね、私と同じように決してぱっちりとした二重とかでもない彼女は、私より目が大きいのだ
私に見つめられることを恥ずかしがったりするひとは一定数いるので、しのちゃんは結構意識的にひとの目を見ないようにしている
なにが見えていると思うんだろう、と不思議に思うのだが、彼女の目をおもうと少し納得もいく
少しどきりとする、私より少し弱いらしいコンタクトをはめた目は、深い意味はなくともこちらを"みようとしている"気がする
視線がキョロキョロと表情が豊かとかでは全くないんだけれど、彼女はしのちゃんよりも庇のように瞼が覆い被さって、それがアイラインのように目尻に伸びていてね
友達にそれを話したら、確かに彼女の目は猫のようだねといっていた
横から見たらきっと突出したレンズが向こうを透かしそうに、虹彩の色素が明るくて、じっと見つめてくれるんだ
喫茶店を出てから信号待ちで、なんて綺麗な目だろうとおもった
陽の光の下でひとの目を随分久しぶりにみたようにおもう
そうして昼食に向かう我々
結局カレーになった
西洋では古代、王の肘から中指の先までの長さをひとつの単位としていたというが、まさしくそのくらい長大なナンと格闘して、店を出てまた散歩
結局この日だけで我々は10km以上も歩いて、その間ずっとずっとおしゃべりをしていた
国立にもこんな並木道がある
煙草の税金はその煙草を買ったお店のある市区町村のものになるから、中野の喫煙所なんて「煙草を買うなら中野でネ」みたいなこと買いてあるのにどうだい阿佐ヶ谷の喫煙所は禁煙外来のすすめだ
東西線の青は私の吸うハイライトの青からとられたのよ
いい八百屋よね
どことなくこの間歩いた新井薬師に似ている
この弁慶の泣き所のあたりを並ぶコンクリの円柱はなんだろう
ペットを飼ったことはある?
花屋の多い街だね
そうして寄り道をぐるぐると繰り返して、鷺ノ宮まで着いた
────後半へ続く



